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肺動脈バルーン形成術により血流の改善を認めた慢性肺血栓塞栓性肺高血圧症の1例

久留米大学病院
久留米大学医学部放射線医学教室 近末 智雅 先生 / 久留米大学病院放射線部 黒木 英郁 先生
  • ご紹介する症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。
  • 効能又は効果、用法及び用量、警告、禁忌等を含む使用上の注意につきましては、添付文書をご参照ください。
Content

Title

はじめに

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Body content

症例背景

60歳代、女性、48kg、慢性肺血栓塞栓性肺高血圧症

Body content

検査目的

慢性肺血栓塞栓性肺高血圧症に対する肺動脈バルーン形成術後の評価目的

使用造影剤

イオプロミド300注シリンジ / 42mL

Title

症例解説

Reference Paragraph
Body content

労作時息切れと動悸を主訴に、近医を受診した。精査の結果、慢性肺血栓塞栓性肺高血圧症の診断となり当院心臓血管内科で右肺動脈A8と左肺動脈A5に対して肺動脈バルーン形成術が施行された。
肺動脈バルーン形成術が施行された肺動脈径の変化は僅かであるが、dual energy CTを用いたヨードマップをでは、血流の改善が明瞭に描出された。

Title

画像所見

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Image List
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Image Title
図1.肺動脈バルーン形成術前右肺動脈A8
Image Caption
右肺動脈A8末梢部に描出不良が疑われる(⇨)。
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Image Title
図2.肺動脈バルーン形成術前左肺動脈A5
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左肺動脈A5に狭小化が疑われる(⇨)。
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図3.肺動脈バルーン形成術前ヨードマップ
Image Caption
右肺下葉、左肺舌区はhypoperfusion areaとして描出されている(⇨)。
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Image Title
図4.肺動脈バルーン形成術後右肺動脈A8
Image Caption
右肺動脈A8末梢部の描出に改善を認める(⇨)。
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Image Title
図5.肺動脈バルーン形成術後左肺動脈A5
Image Caption
左肺動脈A5の狭小化に改善を認める(⇨)。
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Image Title
図6.肺動脈バルーン形成術前ヨードマップ
Image Caption
右肺下葉、左肺舌区はperfusionに改善が見られる(⇨)。

Title

撮影プロトコル

Reference Paragraph
Body content
使用機器 CT機種 Discovery CT 750HD FREEdom Edition / GE Healthcare
CT検出器の列数/スライス数 64
ワークステーション Advantage Workstation 4.7 / GE Healthcare
撮影条件 撮影時相 肺動脈相
管電圧 (kV) 80kV/140kV DECT(GSI:高速スイッチング方式)
管電流時間 (Eff.mAs) 315
ビーム幅 40mm
撮影スライス厚 (mm) 0.625
焦点サイズ Large
スキャンモード Helical
スキャン速度 (sec/rot) 0.5
ピッチ(mm) 0.984
スキャン範囲 胸部 (Length:382mm)
撮影時間 (sec) 5.02
撮影方向 頭⇒足
再構成
条件
  肺動脈相
ルーチン:再構成スライス厚/間隔 (mm/mm) 5 / 5
ルーチン:再構成関数/逐次近似応用法 Stnd/ASiR-V 30%
3D/MPR用:再構成スライス厚/間隔 (mm/mm) 0.625 / 0.625
3D/MPR用:再構成関数/逐次近似応用法 Stnd/ASiR-V 50%
造影条件   肺動脈相
自動注入器機種名/メーカー名 Dual shot Gx 7 / 根本杏林堂
使用造影剤 イオプロミド300注シリンジ
造影剤:投与量 42mL Test Bolus : 12mL Main Bolus : 30mL
造影剤:注入速度、注入時間 4mL/sec Test Bolus : 3sec Main Bolus : 7.5sec
生食:投与量 50mL Test Bolus : 20mL Main Bolus : 30mL
生食:注入速度、注入時間 4mL/sec Test Bolus : 5sec Main Bolus : 7.5sec
スキャンタイミング TBT ROI:LA Test peak 1sec 後
ディレイタイム 27sec    
留置針サイズ (G) 20
注入圧リミット (kg/cm2) 10kg/cm2

Title

当該疾患の診断における造影CTの役割

Reference Paragraph
Body content

慢性肺血栓塞栓症は、器質化した血栓により肺動脈が慢性的に閉塞した疾患の総称である。特に血栓による狭窄あるいは閉塞した肺動脈の範囲が広範囲にわたる場合、肺高血圧症を合併し、労作時息切れなどの臨床症状を認める場合、慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)の診断となる。CTは肺動脈造影検査と比較して低侵襲であり、病態の把握と治療後の経過観察に重要な役割を担っている。

診断にはCT機種により値は異なるが、肺野条件・縦隔条件に、ウィンドウ幅 500~650HU、ウィンドウレベル100~150HU程度の条件を加え読影すると診断精度の向上が期待できる(1)。また、multi-planar reconstruction(MPR)や maximum intensity projection(MIP)像を加えることで多方面から診断することが重要である。

慢性肺血栓塞栓症の造影CTの直接所見には、肺動脈の完全閉塞、内腔の不整像、webやband、狭窄後拡張、肺動脈主幹部から左右主肺動脈の拡張などがある(1)。間接所見には、側副血行路の拡張、肺野条件でのモザイク影やすりガラス影、気管支拡張所見などがある。一方で、肺門部リンパ節、造影されていない肺静脈、気管支内粘液、streak artifact、motion artifactによる低吸収域などを肺動脈血栓と誤認しないように注意する。

肺動脈末梢レベルの血栓は従来のCTでは描出が困難なことがあるが,近年普及が進んでいるdual energy CT(DECT)を用いた肺灌流血液量画像にて検出することができる。DECTを用いることで肺野末梢側における造影剤のヨード分布を可視化することが可能となる。1回の造影CT検査で肺動脈内の血栓評価と、肺実質の血液灌流を同時に評価でき、より正確な肺塞栓の診断が可能になる。

Title

CT技術や撮像プロトコル設定について

Reference Paragraph
Body content

肺血栓塞栓症の正確なCT診断に重要なことは、肺動脈の十分な造影効果を得ること、薄いスライスで再構成することである。肺動脈の良い造影効果を得るためには、ダイナミック撮影に準じた造影剤注入速度が必要である。当院では23mgI/kg/秒(300 mgヨード造影剤を使用した場合、体重50kgで約4.0ml/秒の注入)を使用している。テスト・インジェクション法やbolus tracking法でスキャン開始のタイミングを決定するのが一般的ある(2~4)。鎖骨下静脈や上大静脈に高濃度の造影剤が残存すると、streak artifactを生じて肺野のヨード分布が評価困難となるので、造影剤注入後には20~50mL程度の生理食塩水を注入する必要がある。

撮影条件の設定では管電圧の選択が重要となる。従来は120kVpが一般的であったが、X線のエネルギーが低くなるとヨードのCT値が上昇する性質を利用した、80kVpや100kVpの低管電圧CT angiography が数多く報告されている(5)。
画像再構成では、1mmスライス厚が検者間一致率の高く、必要に応じてMPRを行うことができる。肺動脈末梢レベルの血栓は CT では描出が難しいこともあり、dual-energy CT を用いた肺灌流血液量(lung perfused blood volume)にて補うことができる場合がある。

CF Number
PP-IOPR-JP-0099-28-02

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