肺動脈血栓・深部静脈血栓の検出にデュアルエネルギーCTが有用であった一例
- ご紹介する症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。
- 効能又は効果、用法及び用量、警告、禁忌等を含む使用上の注意につきましては、添付文書をご参照ください。
Title
はじめに
患者背景
80歳代、女性、45kg、肺動脈血栓・深部静脈血栓
検査目的
肺炎、心不全で入院中に、D-ダイマーの経時的な上昇を認めたため、肺動脈血栓・深部静脈血栓が疑われ、造影CTを施行した。
使用造影剤
イオパミロン注300シリンジ /90mL
Title
画像所見
深部静脈血栓症に対して、55keVの画像再構成を行うことで、造影剤のCT値は上昇し、血栓と造影剤のコントラストが改善するため、リング状の血栓像が明瞭に観察できるようになった。
Title
撮影プロトコル
使用機器 |
CT機種 |
Revolution Frontier/GE ヘルスケア・ジャパン |
---|---|---|
ワークステーション |
AW server 3.2/GEヘルスケア・ジャパン |
撮影条件 |
撮影時相 |
肺動脈相 |
平衡相 |
---|---|---|---|
管電圧 (kV) |
80/140 | 80/140 | |
AEC |
なし | なし | |
管電流時間 (Eff.mAs) |
375mA | 550mA | |
ビーム幅 |
40mm | 40mm | |
撮影スライス厚 (mm) |
0.625 | 0.625 | |
焦点サイズ |
1.2 | 1.2 | |
スキャンモード |
Helical | Helical | |
スキャン速度 (sec/rot) |
0.7 | 0.8 | |
ピッチ |
0.984 | 1.375 | |
スキャン範囲 |
肺尖から肺下縁 | 肝上縁から下腿 | |
撮影時間 (sec) |
5.2 | 12.8 | |
撮影方向 |
頭⇒足 | 頭⇒足 |
再構成 条件 |
|
肺動脈相 |
平衡相 |
---|---|---|---|
ルーチン:再構成スライ |
1.25/1.0 | 1.25/1.0 | |
ルーチン:再構成関数/ |
Standard/ASiR-V 30% | Standard/ASiR-V 20% | |
3D/MPR用:再構成スラ |
1.25/1.0 | 1.25/1.0 | |
3D/MPR用:再構成関数 |
Standard/A-SiR-V 30% | Standard/A-SiR-V 20% | |
仮想単色X線画像 |
70keV | 55keV | |
物質密度画像 |
Iodine(Water) | ー |
造影条件 |
肺動脈相 |
平衡相 |
|
---|---|---|---|
自動注入器機種名/メーカー名 |
Stellant D Dual Flow/バイエル薬品 | ||
使用造影剤 |
イオパミロン注300 シリンジ | ||
造影剤:投与量 |
90mL | ||
造影剤:注入速度、注入時間 |
2.5mL/s, 36sec | ||
生食:投与量 |
なし | ||
生食:注入速度、注入時間 |
なし | ||
スキャンタイミング |
固定法 | ||
ディレイタイム |
30sec | ||
留置針サイズ (G) |
22G | ||
注入圧リミット (psi) |
150 psi |
Title
撮影プロトコルについての解説
造影プロトコルはガイドラインに従った標準的なものである。肺動脈塞栓症に対して、デュアルエネルギーCTの特長である物質密度(ヨード密度)画像を用いて、ヨード造影剤の分布を画像化し、血流低下領域を識別することができる。また、深部静脈血栓症に対して、静脈の造影剤濃度を十分に上昇させる目的で、55keVの画像再構成を使用している。デュアルエネルギーCTはCT値をコントロールできるため、さらなる造影剤の注入量低減が可能となる。